月は存在するか 2018 12 9

 量子論の言い分が正しいのであれば、
月は、我々が「見た」から、そこにあり、
我々が見ていないときは、そこにはいないことになる。
(アインシュタイン)

書名 「量子論」を楽しむ本
監修 佐藤 勝彦  PHP文庫

 最近は、忙しくて・・・・・。
IT技術も、佳境にある。
世界経済も、手に汗握るような展開にある。
いや、それ以上に、国際政治は、かつてないほど醍醐味がある。
情報は大河のごとく押し寄せ、私の頭はパンク状態にある。
 21世紀後半の人たちから見れば、
21世紀前半は、激動の時代で、わくわくする時代だった。
21世紀後半になったら、「平らな時代」になってしまった。
 だから、早く大衆向けのタイムマシンを開発してもらって、
21世紀前半を見学したいと、後世の人たちは思うかもしれません。
 そういうわけで、私は、世界の政治や経済、
あるいは、コンピューターに専念したいので、
大型書店の科学書のコーナーには行かないようにしていました。
 なぜかというと、科学書は速読ができないからです。
だから、非常に時間を取られてしまい、
そのうえ、頭の中で、ひたすら考える時間が必要ですので、
日常生活に支障が出ます。
 世間では、テレビゲームに夢中になりすぎて、
「廃人」になったという話がありますが、
「私も似たようなものだ」と思っています。
 そういうわけで、「廃人」にならないように、
文庫本コーナーならば、「安全」だろうと思っていたところが、
まさか物理学の文庫本があるとは・・・・・。
 思い起こせば、高校2年生の時、本屋で、
うっかり「超弦理論(超ひも理論)」の本を手に取ってしまい、
つい夢中になり、思索の時間が増え、
「廃人」への道を歩みつつも、
大学受験の日程が迫ることによって、
常識の世界に戻ることができました。
 大学に入って、平穏な日々と安定に満足していましたが、
またしても見てしまったが「ローレンツ収縮」でした。
これに夢中になってしまいましたが、
友人たちが就職活動の準備に忙しくなるのを見て、
常識の世界に戻ることができました。
 でも、この頃から、頭の中に、
「猫」がちらつくようになったのです。
「物理学と猫」、いや正確に言えば「量子論と猫」で、
量子論の説明に空想の猫を使った学者がいるのです。
 私は、猫好きであるうえに、物理学に関心があるので、
「これから大変な時期なのに、両方が揃うなんて」と思いました。
 さて、前置きが長くなりました。
私は、何度か書いていますが、
目の前にリンゴがあったとします。
「このリンゴは、確率的に存在している」と書いたら、変でしょうか。
 アインシュタインは、
「物理学に確率を持ち込むとは、けしからん」と怒っていたと、
本で読んだことがあります。
 確かに、リンゴのような巨大な物質では、
量子力学のような影響は少なく、
リンゴは、厳然として存在します。
 しかし、電子ような微粒子(素粒子)の世界では、
確率論を持ち込んでも問題はないと思います。
 高校の物理学や化学の教科書では、
水素原子は、中心に陽子が一つあって、その周りに、電子がある。
これは、太陽と地球のように、太陽系の軌道のイメージだったと思います。
 しかし、現実には、電子は、
電子軌道上に確率的に存在していると言ってよいかもしれません。
 別の言い方をすれば、観測していないときは、
電子は、「電子雲」のような状態であり、
観測すると、「粒子」のような存在になる。
つまり、電子は、「粒子」であり、「波」でもあるのです。
 ここでいう「波」とは、海水浴場の「波」ではなく、
「エネルギー」のようなものです。
もちろん、性質としては、波の性質を持っています。
 なんだか、電子の存在が怪しいものになりましたが、
微粒子(素粒子)の世界では、このような怪現象が起こるのです。
 さすがに、リンゴのような巨大な物質では、怪現象は起こりません。
ましてや「月」のような「衛星」では起こり得ません。
 アインシュタインは、「量子論」を嫌っていたそうです。
だからこそ、月の存在という「極論」が出てきてしまったのです。
 ついでに、「月」が出たところで、英語の雑学を書きます。
英語で、「月に約束する」とは、「かなわぬ約束をする」という意味です。
同じく、「月が欲しい」とは、「ないものねだり」の意味です。
 政治家は、よく国民に対して、「月に約束する」ようなものであり、
国民は、よく政府に対して、「月が欲しい」と言っています。
こうなると、政治学的に「月」が存在するか怪しいものです。
 量子論の言い分が正しいのであれば、
月は、我々が「見た」から、そこにあり、
我々が見ていないときは、そこにないことになる。
(アインシュタイン)

量子コンピューティング 2018 7 22

書名 日経ビジネス 量子コンピューター Google、IBMの野望 2018.07.16 No.1950
出版社 日経BP社

 今、世の中では、
「AIコンピューター」の話題で盛り上がっていますが、
実は、「量子コンピューター」も劇的な変化が来ているのです。
 量子コンピューターを理解するには、
「量子論」を理解しておく必要があります。
 たとえば、机の上に「リンゴ」があるとします。
「このリンゴは、確率的に存在する」と言ったら変でしょうか。
 あるいは、あなたが観測すれば、リンゴは存在して、
観測しなければ、存在するかもしれないが存在しないかもしれないという
中途半端な状態にあるとまで言うと変かもしれません。
 もっと変な言い方をしましょう。
リンゴは、粒子であり、波でもある。
ここまで行くと、リンゴの存在が怪しいものとなってしまいます。
 アインシュタインは、
「物理学に確率を持ち込んではいけない」と怒っていたそうです。
 もちろん、リンゴのような巨大な物質は、
確かに存在するものであり、「確率的存在」ではありません。
 しかしながら、「電子」のような「微小な存在」を考える時は、
物理学に確率を持ち込む必要があります。
 よく原子の構造が教科書に掲載されていますが、
原子構造が、まるで太陽と惑星の関係のように、
つまり、惑星(電子)が太陽(原子核)の周りを回っているように描かれています。
これは、半分正しく、半分間違っています。
 確かに、原子核の外に、電子軌道はありますが、
それは、惑星の軌道のようなものではなく、「電子殻」のようなものです。
「電子殻」とは、たとえれば、卵の殻のようなものです。
 電子は、卵の殻のようなものに確率的に存在します。
観測すれば、電子は、粒子のような振る舞いをしますが、
基本は、電子は、電子殻に「電子雲」のように存在します。
そういうわけで、電子は、「粒子であり、波でもある」という存在です。
 「電子は波である」というとわかりにくいので、
「エネルギーのような存在」であるということでしょう。
 さて、話がそれてしまいました。
電子が粒子であるという点に着目すると、
電子は、スピンしています。
つまり、電子というものは、回転の性質を持っています。
これを「上向きのスピン」と「下向きのスピン」と言います。
普通は、この二つのどちらかの状態にあります。
 ところが、「絶対零度」まで冷やすと、
横方向からの磁場をかけることによって、
「上向きのスピン」と「下向きのスピン」が重なり合って存在するという状態になります。
これは、「スピン」の共存(重ね合わせ)という状態です。
このような状態を利用したのが、「量子アニーリング方式」です。
 量子コンピューターの開発は遅々として進まなかったのですが、
「量子アニーリング方式」の登場が量子コンピューター開発の起爆剤になりました。
 当初、「量子アニーリング方式」は、
「量子コンピューターではない。
『量子ゲート方式』こそが量子コンピューターである」という批判がありましたが、
「量子アニーリング方式」を使う企業が続出している以上、認めざるを得ないでしょう。
 もちろん、量子ゲート方式の開発も進んでいますので、
「量子戦国時代」を迎えつつあります。
 世界では、IBMやグーグルという「IT巨人」が、
続々と「量子市場」に参入しています。
 日本は、「AIコンピューター」には夢中でも、
なぜか「量子コンピューター」は静観していますが、
「周回遅れ」になる可能性があります。
 グーグルは、「AIコンピューター」だけでなく、
「量子コンピューター」においても先行するかもしれません。
 しかし、IBMは、「量子コンピューター」で、
再び栄光を取り戻そうとしています。
 ここに日本企業の姿はなく、
観客席に日本企業の姿を見かける。
 しかし、量子コンピューターを制する者が世界を制する。
実は、「AIコンピューター」と「量子コンピューター」は表裏一体のものだからです。

Annealing 焼きなまし(焼鈍) 2017 8 13

 「焼鈍」とは、工業系の人たちは、よく知っている言葉でしょうが、
普通の人は、あまり知らない言葉でしょう。
 ちょうどよい説明はないかと、インターネットを見ていたら、
株式会社セイショーのホームページに、ちょうどよい説明がありました。
 焼鈍(焼きなまし)とは、
鋼を適当な温度に加熱して、
その温度に一定時間保持した後に、
除冷していく処理を言います。
焼きなましは、内部応力の除去、硬さの低下、加工性の向上などの効果があります。
(引用、以上)
 実は、コンピュータの世界でも、
「アニーリング」という言葉が使われます。
つまり、「量子アニーリング」コンピュータのことです。

書名 量子コンピュータが人工知能を加速する
著者 西森 秀稔  大関 真之  日経BP社

 量子コンピュータというと、
「夢の技術」と言われていましたが、
カナダの新興企業が、あっという間に実用化して、商業化してしまいました。
それが、「量子アニーリング」コンピュータです。
 従来、量子コンピュータというと、
「量子回路式」のことだったのですが、
著者たちが提案したものが、
「量子アニーリング方式」というものです。
 「量子回路式」は、汎用のコンピュータを目指していたのに対して、
「量子アニーリング方式」は、特定の分野に特化しています。
 どういう分野かというと、わかりにくいかと思いますが、
「組み合わせ最適化問題」という分野です。
 そういうわけで、従来の「量子回路式」を支持する学派からは、
「量子アニーリング方式」は、量子コンピュータとは言えないという批判がありましたが、
今では、量子コンピュータとして認められるようになっています。
 アメリカの「量子コンピュータ業界」では、
「量子アニーリング方式」が盛り上がっていると言われます。
 ところで、なぜ、「量子アニーリング方式」が、人工知能を加速するかというと、
「量子アニーリング方式」は、「組み合わせ最適化問題」に特化しているからです。
 この「組み合わせ最適化問題」は、
正に人工知能(AI)がチャレンジしている分野と言えるでしょう。
 さて、「量子アニーリング方式」コンピュータの写真や図面を見ると、
多くの人は、「これは、コンピュータではなく、実験装置のようなものだ」と思うでしょう。
 しかし、現実には、実用化され、商業化もされ、
有名企業にも納品されています。
 とにかく、「量子アニーリング方式」が、
コンピュータ業界に旋風を引き起こしていることには間違いありません。
 一般的なコンピュータに比べて、
この新型コンピュータは、「絶対零度」を使うことが特徴的でしょうか。
 マイナス273度という超低温において、
常識では考えられない現象が起こります。
 たとえば、超電導現象(超伝導)があります。
あるいは、「超流動」現象があるでしょう。
その他に、「スピン」の共存(重ね合わせ)でしょうか。
つまり、量子的に存在するということです。
 電子というものは、回転の性質を持っています。
これを「上向きのスピン」と「下向きのスピン」と言います。
普通は、この二つのどちらかの状態にあります。
 ところが、「絶対零度」まで冷やすと、
横方向からの磁場をかけることによって、
「上向きのスピン」と「下向きのスピン」が重なり合って存在するという状態になります。
これを利用したのが、「量子アニーリング方式」です。
 なんとなく、写真や図面では、
「冷却装置」という実験装置を作ったように見えますが、
これが、人工知能を加速させることは間違いないでしょう。
 多くの日本人には、「量子アニーリング・コンピュータ」というと、
何のことだか、さっぱり、わからないでしょうが、
「焼鈍コンピュータ」ならば、「和風」で、親近感がわくでしょう。
(注)
 この文章は、朝、起きたばかりで、
眠たい目をこすりながら書いたので、
間違いや説明不足があるかもしれませんので、
専門家の方が補ってくださることを期待します。











































































































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